寒い

夜中に小説を読んでいて、感傷的にでもなったのか、ベッドに横たわりながら涙を流していた。
声を上げないようにすると、徐々に呼吸が乱れて、過呼吸気味に。
頭の芯と手先がじんわり痺れ、額に手の甲を当てると、熱を持っていた。
無性に人恋しくて、飼い犬の名前を呼んだ。
小さな声だったけれど、すぐにクレートから這い出て、こちらを窺う。
来て、とベッドを示すと飛び上がり、私の身体に自分の身体をぴったりとくっつけて横になった。
私の腕を枕にしながら、顔を覗き込んでくる。
息苦しさを誤魔化そうと、幾度か深い呼吸を繰り返して、頭を撫でた。
自分とは違う体温と、自分とは違う速度の鼓動を感じて、少しずつ落ち着きを取り戻していった。

けれど、目を覚ましてからというもの、息苦しさと共に僅かな寒気、喉元に何か詰まったような違和感、吐き気が収まらない。
ああ、気持ち悪い。